内科・漢方内科
当院では、患者様の病状に応じた内科的治療・漢方治療を行っております。
西洋医学と東洋医学の長所をそれぞれ考慮しながら、効果的な治療を行い、病気の元になる体質を改善し、自然治癒力や免疫力を高める医療を目指しています。
漢方医学の基礎
現代の漢方医学では、患者さんを診たときに、吐く以外の三つ(汗、小便、大便)の出口のどれかが不調なら、まずその不調な出口を開ける(発汗させる、小便を増やす、便通をつける)というのが体力のある人(実証)に対する基本治療姿勢です。逆に体力のない人(虚証)には、体力をつける治療を行います。
漢方医学の診察方法
「望診、問診、聞診、切診」
望診とは患者さんを見ることで、顔色を見たり、歩き方を見たり、舌を見たりして、病気の性質を推しはかります。現代医学では神経内科がこれに近い診察方法をとっています。舌を見る舌診はあまり一般的ではないようです。私が舌を診るのは私に漢方医学を教えてくださった先生が日本漢方の舌診の大家で、この先生から舌診の方法を習っているからです。漢方の先生がみんな舌を見るというわけではないようです。
問診とは、いつから、どこが、どうなった、どうすれば悪くなって、どうすればよくなるか、どのお医者さんでも行っている、患者さんに色々な質問をすることです。当院では質問の内容には、現代医学の尋ね方だけではなく、漢方医学の理論にのっとった質問もします。たとえば、風邪をひいてこられたときに、汗が出るか出ないかを質問するのは、漢方医学の考えでは汗が出ているのか出ていないのかで病気の状態が違い、薬が違うのでお聞きするのです。
聞診とは聞くことです。
現代医学では聴診器をあてて胸の音を聞く、お腹の動きを聴診器をあてて聞くなど聴覚を通じて病気の程度を推しはかります。漢方でも現在は聴診器を使いますが、目的は同じです。他に、現代医学でも漢方医学でも行う、口臭をかいだり、吐物の臭いをかいだり、大便を臭ったりという嗅覚を介して病気の程度を推しはかることも聞診に入ります。漢方医学では話声の勢いでその人の体力を推しはる場合がありますが、これも聞診に入ります。これは現代医学でも、精神神経科、心療内科では行われています。
切診とは患者さんの体にさわって病気の性質・程度を推しはかることです。腫れている場所を触って熱があるかどうかを診るのも切診の範疇(はんちゅう)に入りますが、切診の代表は脈診と腹診、それに背診です。
脈診とは、脈をとることで病気の性質・程度、それに患者さんの体力などを推しはかる診察です。昔でいう「お脈拝見」です。漢方医学でも中国の伝統医学たる中医学でも脈診は行います。
腹診。これは日本の漢方医学独特の診察方法で、生活習慣の違いか、中国では行わないようです。ただ日本の漢方医学を実践するからにはこれができないと話になりません。現代医学ではお腹を診るときには膝を曲げますが、漢方医学では足を伸ばして、お腹を触り、押さえ、お腹のいろいろな場所の張り具合・痛み具合・力のなさなどから病気の性質・程度を推しはかり薬を決めます。
それに背診、背中の張り具合いも診察の対象になります。
漢方医学の治療
「陽病の状態、陰病の状態」
漢方医学では、何かわからないが体に悪影響を及ぼして病気にするもののことを「邪」という言葉であらわしています。この邪が体内に入ってきて、体がそれを追い出そうとする状態を「陽病の病態」といいます。「陽病」とは体が邪を追い出すだけの力をもっている状態です。「邪」が体に入っても体がそれを追い出すだけの力がなく、邪に体がどんどんと冒されていく状態もあります。これを「陰病の病態」といいます。
陽病の状態の治療には四つあるとされています。陽病は体に邪が入って、それを何とか追い出そうとしている状態なのですから、治療は体が邪を追い出すのを手助けしてやればいいのです。考えてみますと、体から出るものには「発汗、吐くこと、大便、小便」の四つがあります。この出方のどれかが滞るか、どれかのルートで邪を追い出すことがうまくいかなくなったときに病気が起こる、もともとある病気がひどくなると考えます。ですからこの「発汗、吐くこと、大便、小便」のどれかが滞っていれば、まずそれを治すことを考えなければなりません。
現代の漢方医学では、患者さんを診たときに、吐く以外の三つ(汗、小便、大便)の出口のどれかが不調なら、まずその不調な出口を開ける(発汗させる、小便を増やす、便通をつける)というのが基本になる治療姿勢です。病気を治す薬を考える場合に、この「発汗させる、小便を増やす、便通をつける」ということは必須として生薬を併せて漢方薬として使います。エキス剤という薬を使う場合も、その中身を考えて、上記の基本に則して使用します。
陰病の状態の治療は、邪に対抗できるだけの体力がないのですから、まず邪に対抗できるだけの体力を付けるのを基本と考えます。体力を付けるというのは長い時間を必要とします。陽病の場合は、邪が体から出ていけば、あとは体にそなわった治癒力で治るのですから、そんなに時間はかかりません。しかし陰病の場合は、体力を付ける、いわば地力を増やすのですから治療に時間がかかります。もっとも、体力の無い人が治るのに時間がかかるのは現代医学でも同じです。



